火災保険は安くできる
「火災保険=火事のとき」と思われがちですが、実は台風・落雷・水ぬれなど、生活に近い事故にも関わることが多い保険です。
だからこそ、ムダに高い保険料を払わず、必要な補償は残すという見直しが大事。
安くするコツは、必要額は抑え、無駄を削り、条件をそろえて比較することです。
火災保険は、同じように見えても会社やプランで差が出やすいです。
ここでは、持ち家の火災保険を安くするポイントを7つにまとめました。
1)住宅ローンがある人は「銀行の条件」をチェック
住宅をローンで購入するときは、契約の流れの中で火災保険の説明も一緒に受けることがほとんどです。
金融機関によっては、ローンの条件として火災保険(場合によっては地震保険も)への加入が実質必須になっているケースもあります。
その際、指定の火災保険をすすめられることがありますが、必ずしもその保険に入らないといけないとは限りません。(保険料が高いことが多い)
多くの場合、金融機関が求める補償内容・補償金額などの条件を満たしていれば、他社の火災保険でもローン手続きは進められます。
銀行(または契約書)で「必要な補償条件(建物の保険金額や補償範囲など)」があるか確認しましょう。
2)保険金額を適正にして、免責も賢く決めよう
火災保険の保険金額は、どの会社でも一律ではありません。
保険会社や商品によって、建物の面積(延床面積)や築年数などの条件により、設定できる保険金額や保険料が変わる場合があります。
見積もりを取るときは、面積や築年数などの情報をそろえたうえで、同じ条件で比較しましょう。
目安は「同じ家を建て直すならいくら?」の水準です。
- 建物の保険金額が盛られている → 保険料が上がる
- 建物の保険金額が低すぎる → 保険料は下がるが、いざという時に足りない
また、免責の金額によっても、保険料は変わってきます。
免責とは、保険を使うときの自己負担額です。
【例】
免責が「5万円」の契約で、修理費が20万円かかった場合、保険金は20万円−5万円=15万円
- 免責(自己負担額)を上げる→保険料が下がる
- 免責(自己負担額)を下げる→小さな被害もカバーできるが保険料が上がる
また、補償項目ごとの免責の有無が違う場合もあるのでチェックすると良いでしょう。
3)家財の金額を上手に見積もるコツ
家財補償を付けると保険料は上がりますが、家電や家具が多いご家庭ほど、いざというときのダメージは大きくなります。
特に火災保険の事故原因として多いと言われるのが落雷です。
落雷で家電が故障して使えなくなると、生活への影響も出費も痛手になりやすいので、家財補償を付ける価値は十分あります。
一方で、貴金属・宝石・腕時計・美術品・骨董品などは、家財補償の対象外になったり、補償に条件(申告が必要、上限がある等)が付くケースが少なくありません。
補償されるかどうかは商品ごとに違うため、加入前に約款(補償の対象かどうか)を確認しておくのがおすすめです。
また、保険で請求できるのは基本的に実際に損害を受けた分だけです。
家財の補償額を必要以上に高くしても、受け取れる金額が増えるとは限りません。
まずはご自宅の家電・家具・衣類などをざっくり洗い出して、必要な金額を見積もってみましょう。
最低限でよいと判断できるなら、家財の補償額を下げるだけでも保険料の節約につながります。
4)いらない補償の整理ポイント
よく見直し対象になるものは何があるでしょうか?
「保険は大きな損失に備え、細かい出費は自己資金で対応する」
このバランスが、ムダなく安心を確保する理想的な形です。
✅破損・汚損(不測かつ突発的な事故)特約
うっかりぶつけて壊した等(対象外も多いので要確認)
✅水ぬれ原因調査/漏水調査費用特約
漏水の原因調査や応急対応費用など
✅盗難・持ち出し家財特約
盗難被害/外出先での携行品を補償するタイプ(条件あり)
✅臨時費用特約
事故後の雑費(片付け・当面の生活費など)を上乗せで出すタイプ
✅仮住まい・宿泊費(臨時宿泊)特約
住めなくなったときのホテル代など
✅残存物取片付け/清掃費用特約
壊れた家財の処分・片付け費用
✅鍵(鍵交換)特約
鍵の紛失・盗難時の交換費用
✅ガラス破損特約
窓ガラス等の破損(風災等で本体に含まれる場合も)
✅個人賠償特約
日常生活で他人に損害を与えた場合(重複注意)
✅24サポート
給排水の詰まり・水漏れの応急対応(30分程度まで無料など) や、鍵の紛失・開錠の手配(作業料・出張料無料など条件あり)などプランにより様々
契約によってはプランで付帯されているケースもあります。
ただ、不安だからこれもあれもは、保険料が跳ね上がりやすいので、生活スタイルで取捨選択すると良いでしょう。
軽微なものは、貯金で備えるという考え方もお勧めです。
5)水災は“住む場所”で判断する
火災保険の「水災補償」は、誰にとっても必須…というより、住む場所によって必要性が大きく変わる補償です。
水災は一度起きると被害が大きい反面、地域によってはほとんど起きないこともあるため、“不安だから付ける”より「起きやすさ」で判断するのがおすすめです。
ハザードマップ上で浸水リスクが高いなら、外すと後悔しやすい項目。
逆に低いなら節約ポイントになりやすいです。
6)地震の対策には地震保険
一般的に、地震・噴火・津波による火災や損壊は、火災保険ではカバーされません。
心配であれば、地震保険を検討しましょう。
ただし、火災保険は補償内容を手厚くすると、その分保険料が高くなりがちです。
近年は住宅の耐震性や建材・設備の性能が向上していることもあり、必ずしも「全損・半損」といった大きな被害になるとは限りません。
だからこそ、保険に入る前に「毎年いくら払うのか(保険料)」と「万一のときにいくら受け取れるのか(補償内容・限度額)」をセットで確認し、家計とのバランスを考えたうえで納得できる内容を選ぶことが大切です。
7)複数社見積もりで損しない火災保険選び
火災保険は、同じ補償内容でも保険会社によって保険料が変わることがあります。
だからこそ、1社だけで決めずに同条件で複数社の見積もりを取るのが、いちばん簡単で効果的な見直し方法です。
比較するときは、条件がズレると安い・高いの判断ができません。
最低でも次はそろえましょう。
- 建物の評価額(保険金額)/家財の金額
- 補償範囲(火災・落雷・風災・水災・破損・地震・個人賠償など)
- 免責(自己負担額)
- 保険期間(契約年数)
保険料が安い見積もりは魅力的ですが、水災が外れていたり、免責が高く設定されていたりすると、いざという時に困ることも。
「何が含まれていて、何が含まれていないか」をチェックすると失敗しにくいです。
保険期間(契約年数)でも保険料が変わります。
一般的に、契約年数が長いほど、1年あたりの保険料が割安になる傾向があります。
火災保険は、同条件で複数社見積もり→補償と金額を並べて確認するだけで、ムダな保険料を減らしやすくなります。
不安な人ほど、まずは比較から始めてみるのがおすすめです。
まとめ
持ち家の火災保険は、見直しで安くできる余地が大きい一方、削り方を間違えると「いざという時に足りない」保険になりがちです。
①建物の保険金額を適正にする
②免責(自己負担額)を決める
③家財の保険金額を適正にする
④補償範囲を住環境に合わせて見直す
⑤水災は浸水リスクで考える
⑥地震保険は保険料と補償金のバランスを考えて検討する
⑦同条件で複数社見積もりを取る
これらを踏まえることで、ムダな保険料を減らしやすくなります。
ポイントは、建物必要金額を確認し、不要な特約を整理しつつ、同条件で複数社見積もりすること。
必要な補償は残して、ムダだけ落とす。これが後悔しない保険を安くする最短ルートです。

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