はじめに
日本は「失われた30年」と言われ、経済成長の停滞や少子高齢化、税・社会保険制度の大きな変化がありました。
消費税は3%から10%に引き上げられ、法人税は約40%から約23%に引き下げ。社会保険料も大幅に上がっています。
1991年の平均年収は446万円→2021年の平均年収443万円。
現在は賃上げが進んでいますが、物価も上がり、実質賃金は依然としてマイナスが続いています。
2025年度の税金の国民負担率は46.2%の見通しです。
税金は、私たちが安心して暮らすために不可欠な公共サービスや社会保障の費用を、みんなで公平に負担するためのものです。そんな税金はどんな形で納め、どのように使われているのでしょうか。
私たちが国に納めている「実質的な税金」をまとめてみました。
所得税
個人の収入にかかる税金で、給料や副業の収入に課税される。
基本的には、累進課税方式が採用されており、税率は所得によって、5〜45%まで7段階に分かれています。
(一部、税率が決まっている比例課税)
給与所得・事業所得・配当所得・利子所得・退職所得・不動産所得・森林所得・譲渡所得・一時所得・雑所得に対してかかります。
所得税の計算するときには、損益通算や所得控除があります。
✅2025年から
160万(基礎控除・給与所得控除の引き上げ)の壁となり、非課税ラインが103万円→160万円に
※2年間の限定処置が終わると、収入約200万円以上の人の非課税ラインは123万円になる
✅2026年から
退職金とiDeco受取期間が9年以上空いてなければ、満額の退職所得控除が使えなくなる
✅通勤手当の非課税だった部分(月15万まで)も課税対象となることが検討中
【目的】:国の一般会計に入り、さまざまな行政サービスの財源として使われます。
復興特別所得税
2013年1月〜2037年12月まで、所得税額の2.1%が上乗せされています。
✅2027年
復興税1.1%+防衛特別所得税1.0%で徴収することが検討中
期間も延長を検討中
【目的】:東日本大震災からの復興の為、被災者支援、原子力災害からの復興・再生、まちの再建に使われています。
住民税
国内に住む人が支払う税金で、所得割(所得の10%)と均等割(森林環境税含む5,000円程度)が課税されます。
✅2025年から
160万の壁(住民税は給与所得控除の引き上げのみ)となり、非課税ラインが約100万円→約110万円に
【目的】:市区町村や都道府県の一般財源として、地域社会の運営に広く使われています。
森林環境税(旧:復興特別住民税)
2024年分から国内に住所がある個人に対して、住民税均等割に上乗せして年額1,000円課税されます。終了時期は定められていません。
※2014年〜2023年までは復興特別税として引かれていました。(2037年までの限定処置)
【目的】:温室効果ガス削減や災害防止、森林の公益的機能維持のための安定財源確保のために使われています。
社会保険料
標準報酬月額(4・5・6月に入る給料の平均値)に対して決まります。
労使折半なので、会社と従業員が半分ずつ負担します。(会社が少し多く負担)
また、労災保険は会社が全額負担しています。
健康保険:10%前後 (1961年6.3%)都道府県により異なる
厚生年金:18.3%(2004年13.58%)
介護保険(40歳以上):1.59%(2000年0.6%)
雇用保険:1.45%(2024年1.55%からの引き下げ)
本人負担率は給料の15%前後です。
✅2027年9月から
厚生年金保険料の標準月額の上限:65万円→75万円に引き上げ(3年間で段階的に)
※フリーランス・自営業の人の場合
所得に対して決まります(収入ー必要経費)全額自己負担です。所得割と均等割があります。
国民健康保険:所得や世帯人数・自治体ごとの計算方式(上限額89万円→92万円)
介護保険(40歳以上):所得や世帯人数・自治体ごとの計算方式(上限額17万円)
国民年金:月17,510円(2004年13,300円)
✅高額医療費の自己負担額引き上げが検討中
【目的】:生活上のリスクに直面したときに給付や補償を受けられるよう、社会全体で支え合う仕組みです。健康保険や年金などそれぞれの目的に使われます。
財源不足により、保険料は年々上がっており、これからも上がることが決定しています。
子ども・子育て支援金制度
2026年4月から導入されます。
「独身税」とも言われていますが、結婚や子供の有無に関わらず、全ての医療保険加入者が対象となり、医療保険料(社会保険・国民保険)に上乗せして、所得に応じて月200〜600円程度徴収されます。毎年この金額は段階的に上がっていきます。
※フリーランス・自営業の人の場合
年3,000円(月250円)徴収されます。こちらも段階的に上がっていきます。
【目的】:少子化対策や子育て支援の財源として使われます。
再生可能エネルギー発電促進賦課金
電気料金に課されています。
2025年は1kWh あたり3.98円上乗せされています。
平均的使用量(400Wh)の場合、月額約1,592円になります。
【目的】:太陽光・風力・水力・地熱・バイオマスなどで発電された電気を電力会社が決まった価格で買い取るための「買取費用」です。
つまり、電気使用者が電気代と電力会社の買取費用も負担しているのです。
再生可能エネルギーの普及と発電事業者の支援のために使われています。
電源開発促進税
電気料金に課されています。
2025年は1kWh あたり0.375円上乗せされています。
平均的使用量(400Wh)の場合、月額約150円になります。
【目的】:電気の安定供給、原子力・水力・地熱などの発電施設の設置促進や運転の円滑化、発電所立地地域の復興のために使われています。
石油石炭税
ガソリン価格にかかる税金です。
ガソリン価格100円あたり2.8円
【目的】:石油対策の財源として創設され、石油代替エネルギー対策や省エネルギー対策に使われています。2007年以降は一般財源化され用途は特定されていません。
ガソリン税
ガソリン価格にかかる税金です。
ガソリン価格100円あたり28.7円
✅走行距離税:走行距離に対して、課税を検討中
ガソリン車もEV車も対象
【目的】:道路の新設や補修、橋やトンネルなどのインフラ整備、交通安全対策など道路関連事業の財源でしたが、2009年以降は一般財源化され用途は特定されていません。
暫定税率
ガソリン価格にかかる税金です。
ガソリン価格100円あたり25.1円
トリガー条項があり、ガソリン価格が1ℓ160円を3ヶ月連続で超えた時は、暫定税率を停止し、高騰を抑えます。
しかし、2011年の東日本大震災以降ずっと復興財源確保のため凍結されている状態です。
✅ガソリン・石油税・ガソリン税・暫定税率を合計したものにさらに税金15.6円課税されており、100円あたり税金72円課される
【目的】:オイルショックによるエネルギー価格高騰と道路整備の財源不足を補うために一時的な増税処置として導入。2009年以降は一般財源化され用途は特定されていません。
自賠責保険料自賠責保険料
自動車やバイク所有・使用者が、登録時や車検の時に必ず支払います。
2025年時点で
自家用普通自動車:17,650円(2年分)
軽自動車:17,540円(2年分)
バイク:8,920円(2年分)
【目的】:交通事故による被害者の救済。最低限の対人賠償のための補償に使われます。
自動車重量税
自動車やバイクの所有・使用者が、登録時や車検の時に必ず支払います。
普通自動車:4,100円〜6,300円(年)
軽自動車:3,300円〜4,400円(年)
バイク:1,900〜2,500円(年)
※2500cc以下バイクは登録時のみや、エコカー減税、車の経過年数によって金額が変わる
【目的】:道路の建設や整備など維持管理に使われていたが、現在は一般財源となっており、用途は特定されていません。
自動車税
自動車やバイクの所有・使用者が、毎年6月に支払います。
自家用普通自動車:25,000〜111,000円
軽自動車:10,800円
バイク:2,400円〜6,000円
※初度登録日や経過年数によって増額される
【目的】:道路の維持や環境対策など自動車が社会に与える負担の費用に使われています。また地方自治体の一般財源にもなっており、用途は特定されていません。
環境性能割(旧:自動車取得税)
自動車を取得したときにかかる税金。
車の燃焼性機能や排気ガス基準など環境性能に応じて税率が決まります。
(取得価格の3%程度)
電気自動車は非課税です。
✅自動車本体・オプション購入には別で消費税が課される
【目的】:都道府県の一般財源となり、用途は特定されていません。
消費税
ほとんどの物やサービスの取引所に課されます。
⚫️10%
電気料金・ガス料金・水道料金・ガソリン・通信費・交通・宿泊・修理・娯楽・家電・家・車・衣料品・日用品・医薬品など
⚫️8%
酒類・外食を除く飲食料品
定期購読契約が締結された週2回以上発行される新聞
⚫️非課税・免税
土地の譲渡・貸付、住宅の家賃、医療・教育サービス、預貯金の利子
外国人旅行者の免税購入品
【目的】:社会保険制度の安定的な財源。国と地方の社会保障サービスを支える財源になっています。
他
贈与税、相続税、固定資産税、都市計画税、不動産取得税、印紙税、法人税、事業税、酒税、タバコ税、入浴税 等
⚫️非課税
宗教法人、政治資金の相続、政治団体間の寄附(年間5,000万まで)
政治団体が受けた寄附金、政治資金パーティー受領金 等
✅2026年4月から
防衛特別法人税として、法人税額に4%上乗せ
✅2026年4月から
タバコ税として、加熱式と紙タバコが同額に引き上げられ、その後さらに1箱10円ずつ3年間増税
さいごに
いかがでしたか?お腹いっぱいですね。
そんなこんなで、2025年度の国民負担率は46.2%の見通しです。
歳出も見直してくれてはいますが、色々な実質的には税金が増え続け、これからも国民負担率は年々上がっていく予定です。
本当に必要な人、必要なことに歳出されていることを願うばかりです。
自分ができることはしっかりやりつつ、日本のさまざまな現状を考えて、次の選挙ではこれからの日本国・日本人を守ってくれる政党・議員を見極めて投票したいものです。

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