はじめに
マズローによると、人間の欲求には5段階あり、これらを段階的にクリアすることで健全な人格が形成されるとのこと。
つまり、健全な人格形成には、自己実現欲求を満たした達成感が必要とのことです。
5段階欲求とは
【生理的欲求】
食べたい、寝たい、呼吸など
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【安全欲求】
身の安全、健康、経済的安定など
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【社会的・愛情欲求】
愛されたい、家族や友達とのつながりなど
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【承認欲求】
認められたい、尊敬されたいなど
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【自己実現欲求】
自分らしく生きたい、自己の可能性を実現したいなど
マズローは、欲求を段階的にクリアすることが、健全な人格形成には必要だと言っています。
よく食べよく寝て、穏やかに過ごせる環境で暮らし、家族や友人と良好な関係を築いた先に、認められたり尊敬されたり達成感が生まれます。そして自分らしく生きることができるとのことです。
そこが不十分で餓死感や劣等感、他者への不信感を抱いていると、『承認欲求』が不健全なものになります。
欲求不満
『承認欲求』がうまくいかないとき、『欲求不満』が生まれます。
欲求不満は、不安や不快を伴う精神状態。ノイローゼや鬱や自殺、犯罪に追い込まれることもあります。(失敗反応)
欲求不満が生じたとき、理性的に状況を分析し、解決に向けて取り組む『合理的解決』ができるか。
人や物に八つ当たりしたりするような衝動的な行動『近道反応』をしてしまうのか。
自分を守るための無意識な行動『防衛規制』をする場合もあります。
防衛規制
『防衛規制』については、いくつか種類があり面白いので余談。
✅逃避
仮想世界で満たす
✅抑圧
記憶が飛ぶ
✅反動形成
好きな子への意地悪
✅合理化
負け惜しみで納得
✅代償
似た欲求を実現する
✅昇華
鬱憤をスポーツで発散
✅退行
怒鳴り散らす
✅投射
他人のせいにする
✅同一視
権威ある人と自分を重ねて、自分の価値を高く見せる
ただ、これは一時的な安心で、根本的な満足にはなりません。
承認欲求を満たすには
⭐️自分を認める
⭐️他人と比べない
⭐️小さな成功体験を積む
ことが大切だといいます。
5段階欲求の具体例
✅学生の場合
【生理的欲求】
ご飯をたくさん食べる、しっかり寝る
【安全欲求】
親の経済的支援、いじめのない学校
【愛情欲求】
クラスに友達がいる、親から愛されている
【尊厳欲求(承認欲求)】
成績で評価される、親や先生に褒められる
【自己実現欲求】
やりたい進路を見つけ、夢に向かって努力する
✅仕事の場合
【生理的欲求】
美味しいものを食べる、安定した睡眠
【安全欲求】
安定した雇用、生活費を稼げる
【愛情欲求】
会社での人間関係、家族や仲間とのつながり
【尊厳欲求(承認欲求)】
昇進や昇給、家族から感謝される
【自己実現欲求】
社会に貢献している、能力を活かした起業や独立などの挑戦
順序を守る
自分の『承認欲求』は歪んでいませんか?
現代人は『承認欲求』が強いと言います。特にSNSでは『承認欲求』が飛び交っています。
『自分を大きく見せたい』『自分を幸せに見せたい』どうしても他人と比較してしまう心理からでしょう。
しかし、マズローの『承認欲求』は、『等身大の自分を認めてほしい』です。もし自分の『承認欲求』が歪んでいると感じたら、マズローの『自己実現欲求』を思い出してください。
まず自分は今どの段階にいてどこを目指しているのか。
【生理的欲求】→【安全欲求】→【愛情欲求】→【尊厳欲求(承認欲求)】→【自己実現欲求】の順序を守ると、自然と歪みもなくなるでしょう。
子供は周りの援助がないとその段階を解決することはできないかもしれませんが、大人は自分で解決することはできます。
これは、幸せに生きるための『心の地図』といえるのです。
これは他者に対する対応にも応用できます。相手の行動がおかしい時、相手はどの段階の欲求を満たそうとしているのか知ることで、理解や共感を持つことができ冷静に見つめ直すヒントになります。
さいごに
自己実現欲求の本質は、「外部からの評価や物質的な成功」ではなく、「自分の中にある本来の願望・能力を追求し続けること」にあり、それ自体が人の成長や満足につながる大切なものです。
マズローは、『誰もが自分らしく生きる権利と可能性を持っている』と述べています。
しっかり食べて、ゆっくり寝て、整った環境で、良好な関係を築く。
すると自分が価値ある存在と認めることができ、より良く生きたいと自然に成長していくとのことです。
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